葛西の医療特集
「将来の妊娠のために 自分の健康に向き合う」

江戸川区が無料の「プレコン相談」窓口

江戸川区は2024年1月、将来の妊娠を望む若い世代の健康づくりを支援するため、無料で医師に相談できる窓口「プレコン(プレコンセプション)相談」を開設した。開設の背景や支援内容などについて、区健康部健康サービス課の菊池佳子課長に聞いた。

 

進む少子化は大きな課題

2023年の「人口動態統計」の概算では、1人の女性が産む子どもの数の指標となる合計特殊出生率は1.20過去最低で、8年連続して前の年を下回った。東京都の合計特殊出生率は全国平均よりも低く、区にとっても少子化は大きな課題の1つとなっている。

そこで区は昨年度から、結婚や出産を希望する人から学齢期まで、ライフステージに合わせた子育てを支援する「えどがわ50の子育てプラン」をスタート。区立小・中学校の給食費無償化や病児・病後児保育無償化などさまざまな施策を実施しており、「プレコン相談」も施策の1つだ。

プレコンとは「おなかに新しい命が授かる前」という意味。若い男女が将来の妊娠を考えて自身の生活や健康に向き合うヘルスケアに取り組むことで、次世代の健康にもつなげようというものだ。

「晩婚化の傾向にある中、身体的に妊娠に適した年齢があるということを知らなかったという声が区民から聞かれることも。若いうちから生理や性、妊娠について正しく理解することが大切だと感じています」

 

妊娠可能性検査も無料

プレコン相談は江戸川区医師会に委託し月に1回、予約制で実施している。対象は中学生から結婚前の男女(女性は39歳まで)で、不安や悩みの相談のほか、希望があれば男女とも妊娠可能性検査を無料で受けることができる。

相談日の定数4枠は毎月ほぼ埋まっており、関心の高さが伺える。今のところ相談者は20~30代が中心で、3分の1は男性。また、相談者の多くは妊娠可能性検査を希望しているという。

「結婚前のカップルからは、検査結果から安心が得られたという声が聞かれました。生理症状が重いのに婦人科への通院を中断していた女性は、相談後、通院を再開したそうです。聞きにくいことも気軽に相談できる機会として、活用してほしいと思います」

 

アプリ活用で小・中学生へ正しい情報を

手軽に、かつ正確な生理や性に関する情報を発信する手段として、区は株式会社エムティーアイと連携し、女性のための健康情報サービス『ルナルナ』アプリ内に区の特設ページを開設した。今後の課題でもある、より若い世代への周知にも活用したいという。

「3月からは『ルナルナ』でジュニアモードも展開しています。初潮前から生理について知り、疑問や不安を軽減するのに役立てていただければと思います」

ジュニアモードの情報は区立小・中学校の保護者向けに情報提供をするほか、今後は児童・生徒のタブレットでのアプリ使用も検討していく考えだ。

「将来の妊娠のためには、バランスの良い食事・運動・睡眠に気を付けるなど規則正しい生活が一番。大人になってから生活習慣を変えるのは難しい方が多いので、子どものうちからよい生活習慣を心がけてほしいです。ぜひ保護者の皆さまに一緒に取り組んでいただきたいですね」

将来の自分や次世代のために、自分の体を大切にしよう。そのためにも、正しい情報・知識を得て、実践していくことが重要だ。

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