市川に目を向けてこなかった
会社に勤務していた頃から資格に興味を持っていた堀川さん。親の認知症や介護でさまざまな申請や手続きの煩雑さを経験し、「困っている人の手助けになりたい」と、行政書士を目指した。
行政法や地方自治法を学んだとき、自分を振り返り、「約50年暮らしながら、地元・市川にはあまり目を向けてこなかった」と感じた。市川のことを知りもっと関わりを持つべく、ボランティア活動にも参加するようになった。
違う視点から話を聞く
TMOの存在はボランティア仲間から教わった。修了生が何人かおり、「面白いよ」とすすめられたという。
同期の多くは、すでに地域で活動中。堀川さんは資格を取得して行政書士として仕事はしていたが、「どんな地域活動がしたいか、まだ確たるものはありませんでした。自分の思いや取り組みを知ってもらうために言葉にすることで、次第に考えを整理し、膨らませていきました」。
周囲からは多くの刺激を受けたが、中でも印象的だったのが「答えは自分の中にはない」という講師の言葉。「自分で考えてはいましたが、考えすぎて何も出てこないことも。違う視点から話を聞くことでの気付きも多いと分かりました」
行政につなげる役割を担う
行政書士として堀川さんが目指すのは「まちのなんでも相談や」だ。
行政書士の主な仕事は申請業務で、遺言書や相続、成年後見、飲食店開業や建設業許可、外国人の在留資格など、その内容は多岐にわたる。
「許認可業務は1万種を超えると言われています。行政につないだり、解決法を一緒に考えたり、代理で申請したり、お手伝いできることはたくさんあります。暮らしの中で困りごとの相談先が分からない時は相談してもらえれば。必要な場合は司法書士など他の専門家につなげることもできます」
行政書士を知らない人も多いので、まずは知ってもらうことが大切だと堀川さん。市民向けに遺言や相続に関するセミナーを開いたり、行政書士会支部の活動として無料相談会を実施。さらには、認知症の人に声かけをしたり、ごみ拾い、カワウ対策など地域問題にも取り組む。
「市川が暮らしやすく活気あるまちになるには、市民の意識の向上が不可欠。そのためには、地元に目を向けることが必要です。行政とのかけはし的な存在である行政書士として、つなげていく役目もできればと考えています」
専門家としての知識と、地元に目を向けるようになった自身の経験や思いを生かして活動していく。