白内障 日帰り手術で視力回復
白内障は80歳以上となれば誰もが発症すると言われるほど身近な病気。そこで、昨年6月に開院した「葛西駅前たなか眼科」の田中宏樹院長に、白内障の原因や症状、治療法について聞いた。
誰にでも起こる白内障
眼の中にはカメラのレンズのような働きをする「水晶体」があり、これが外からの光をピント調節して網膜に届けます。この水晶体が白く濁って、見えづらくなるのが白内障です。
その大半は加齢が原因の老人性(加齢性)白内障で、80歳以上ではほぼ100%が発症すると言われています。
白内障の主な対象年齢は70~100歳ですが、遺伝などによる先天性白内障、糖尿病やアトピー性皮膚炎などが原因の若年性白内障、スポーツ中の事故や交通事故など外傷が原因の外傷性白内障など、若い人にも発症することはあります。進行速度や自覚症状には個人差があり、90代でも日常生活に困らない人もいれば、40代で見えづらさを感じる人もいます。
初期症状は、視界がぼやける、光がまぶしい、夜間の視力低下などで、次第に日常生活に支障を来すようになります。視力低下により運転免許更新ができないという人も少なくありません。
手術が主流日帰りでできリスクも少ない
一般的な治療法は手術です。「日常生活に多少不便は感じているけれど、まだ手術はしたくない」という人には、点眼薬で進行を遅らせることもできますが、それで症状が回復するわけではないこと、手術自体が日帰りでできるなど負担が少ないことから、多くの人が手術を選びます。
手術では、濁った水晶体を人工の眼内レンズに取り替えます。水晶体を覆う水晶体嚢という膜を切開して専用器具を挿入。超音波で水晶体を細かく砕いて吸引し、人工の眼内レンズを入れて固定させます。所要時間は約10分。点眼麻酔を使用し、痛みはほとんど感じません。多くの場合、入院の必要もありません。眼内レンズは交換の必要がないので、問題がなければずっと使い続けてかまいません。
手術により視力が改善することで、日常生活の質が向上したり、以前のように運転ができるようになったりと、大変喜ばれています。
感染症などのリスクもゼロではないものの、それは非常に稀なケースで、毎年100万人以上が受けている安全で効果的な治療法だと言えるでしょう。術後は、定期的な経過観察と適切なケアを受けてください。
老眼鏡のわずらわしさを軽減する多焦点レンズ
使用する眼内レンズを多焦点眼内レンズにすることも可能です。
多焦点眼内レンズを入れると2つ以上の距離にピントが合うようになるので、老眼鏡の使用頻度を減らすことができます。手術前に医師とよく相談することをおすすめします。
多焦点眼内レンズは自費治療です。最近少しずつ希望される患者さんが増え始めています。今後、選択肢の一つになっていくのではないでしょうか。
早期発見、早期治療
患者さんが白内障だと思って受診されたら、緑内障や黄斑変性など他の病気が見つかることもあります。
見え方に異常を感じたら、まずは眼科を受診されることをおすすめします。
葛西駅前たなか眼科
田中宏樹院長