日常を実感し着実に歩んだ一年
昨年は、コロナの影響で延期していた市制施行40周年式典を華々しく実施。ほかにも盆踊りや花火大会、各自治会のまつり、スポーツ大会など、市民が楽しむイベントが多く開催され、「日常が戻ってきたことを実感できた年でした」と、内田市長は振り返る。
懸案に対して着実に歩みを進めてきた年でもあった。首都高速道路・舞浜ランプの整備・管理を首都高速道路㈱へ移管し、長年の要望が実現した。
8月からは、小・中学生の医療費無償化も開始した。
「医療費無償化を18歳まで引き上げたり、現在は小学6年生と中学3年生のみの給食費無償化を全学年に拡充できないかなど、今年も財政状況を鑑みながら引き続き子育て支援を検討していきます」
子育て支援では、もう一つ大きな動きがあった。スクールライフカウンセラーを学校だけでなく「地域包括支援センター(ともづな)」に配置し、学校外で気軽に相談できる「地域こども相談」をスタートさせた。9月の開始早々、相談があり、市民のニーズに合致していることが分かった。
今後も市民が安心して相談できる場所や間口を広げるとともに、関係部署と情報共有しながら対応する体制作りをする考えだ。
浦安の魅力
~注目と再発見
昨年10月、初の試みとして、舞浜駅南口改修へ向けてクラウドファンディングを実施。開始から2日で目標額の400万円を達成した(昨年11月時点で約700万円)。
「寄付してくださったのは市民の皆さんが全体の約半数で、あとは市外の皆さま。舞浜、そして浦安の魅力が全国からも注目されている証だと、うれしく思っています」
2年目を迎えたアートプロジェクトでも、浦安の魅力を再認識できた。
「東京藝術大学の協力で、ワークショップなど市民参加のイベントを行いました。浦安の立地や特性を改めて知る、良い機会にもなりました」
昨年の課題とは
固定資産税と個人市民税の増加で市全体の税収はコロナ前に戻りつつあるものの、ふるさと納税の流出が約11億円に及んだ。
もちろん、ただ手をこまねいているわけではない。職員のアイデアで、ふるさと納税の返礼品として舞浜と新浦安の旅行クーポン券を出したところ、好評。「あるサイトでは京都や沖縄よりも人気が高いほど。これからも職員一同、知恵を出し合って取り組みます」
クリーンセンターの不燃ごみ処理施設での火災も、大きな課題の一つとなった。不燃ごみや粗大ごみの処理が滞らないよう、近隣自治体の協力を得ながら対策を進めている。
懸案・課題に積極的に取り組む年に
「コロナが落ち着き、財政状況も回復してきているので、今年は長年の懸案や課題に積極的に取り組みたい。第2次実施計画を策定し、市民に意見を聞きながら進めます」
内田市長が懸案としてまず挙げるのが、千葉県が設置する特別支援学校。県として初めて空き教室を利用するもので、令和9年度開校に向けて明海中学校と明海南小学校で改修工事を行う。
さらに、学びの多様化に対応できるよう、県内初の不登校特例校(中学校)も準備中だ。
「家族の介護やきょうだいの世話で進学機会が狭められることのないよう、ヤングケアラー対策にも注力したい」と意気込む。
図書館の進化にも注目だ。ものづくりの拠点となる「ファブラボ」が館内にオープンする。3Dプリンターで作品を作ったり、プログラミング学習に取り組むなど、図書館での過ごし方が多様化しそうだ。
各小学校の図書館にはメディアセンターを整備する。本とコンピューターの双方を活用し、「紙でもネットでも調べたり発表できるイメージ」とのことで、まずは2校で着工開始、3~4年かけて全小学校に整備する。
ほかにも、ハード面では新浦安駅前の北口バス停留所の工事、イベントではクリテリウム(周回コースで行う自転車レース)を開催する予定だ。
行政の本質は「おせっかい」
「市民が心の底から笑顔になれる街にしていきたい」
そのためには、本当に困っている人に対してきちんと手を差し伸べられる行政でありたいと、内田市長は言う。
「行政の本質は、ある意味、おせっかいでいいと思っています。さまざまな相談体制を整備して、手を伸ばしてくれればこちらはいつでもその手を握るし、たとえ拒否しても手をつかみに行くくらい。市民の命を守るためにはそんなおせっかいも必要なんです。いわば『おせっかいシティ浦安』。格好悪いかな?(笑)」