市川市長として2年目となった昨年も、スピード感を持ってさまざまな事業を進めてきた田中甲市長。昨年を振り返るとともに、今年の展望や取り組みたいことについて話を聞いた。
子育てを応援する三本柱を実施
昨年は、田中市長が「子育て支援の三本柱」として取り組んだ施策が相次いでスタートした。
市内すべての市立学校の給食費無償化。所得制限・第1子の年齢制限のない、第2子以降の保育料無償化。子ども医療費助成の高校生までの拡充。いずれも、未来を担う子どもとその保護者を支える大切な施策だ。
「この三本柱は年初から必ず実施したいと考えていたので、実現できてよかったです」
また、「昨年は体調面で市民の皆さまや職員にご心配をおかけし、申し訳ありませんでした」と頭を下げる。3月と4月に合計38日間入院。その間、決定できなかった事業もあり、心身共につらい日々だった。
現在は体調も万全。新たな年も、スピード感を持ってまちづくりを進めていく。
90周年事業は市民を巻き込んで楽しく
2024年は千葉県誕生150周年であり、市川市にとっては市制施行90周年のメモリアルイヤーでもある。
「90周年事業として、市民を巻き込んだ楽しいイベントをさまざま検討しています。決まり次第発表しますので楽しみにお待ちください」
昨年度から取り組んでいるカーボンニュートラル(CO2削減)の推進は、メニューは出そろったもののまだ具体的な動きにはなっていない。
「最終的には地域の新電力会社に市川市が大きく関わることが目標で、新電力・クリーンエネルギーを集め、市の公共機関に供給したいと考えています。環境省が認める脱炭素先行地域にも選ばれるよう、全力で調整中です」
またクリーンセンター建て替えについては「安定した市民生活を目指す上での基礎的な重要項目」と位置づけて取り組む考えだ。
ゴールドシニアがますます輝くように
「昨年は子どもたちの施策の三本柱をたてたので、今年はゴールドシニアの支援にも注力します」
高齢者への尊敬や、ますます輝いてほしいとの思いでネーミングした「ゴールドシニア」。75歳以上の市民が市内でバス・タクシーを利用できる「チケット75」は好評で、上限を超える申請があった。年度内に申請者全員にチケットを配る方向で調整中だ。
「チケットを活用して外出する機会が増え、健康寿命の延伸につながることを期待しています。今年もゴールドシニアの皆さまに輝いていただけるよう尽力いたします」
もちろん子どもたちへも、さらに目を向ける。とりわけ田中市長は「地域の公立小・中学校の水準を上げたい」と力を込める。
「残念ながら学力テストでは全国平均に届かない科目も。その一因として考えられるのが、先生たちが忙しすぎること。まずは先生たちの働き方改革が必要です」
◇毎週金曜日には行徳支所にある自身の机で公務を行う田中市長。「行徳は、古くから受け継がれる神輿や神社などの文化がある一方で、海外から移り住んでいる方もたくさんいる。その多様性のあるまちの姿は、これからの日本の先駆けなのではないかと思います」
今年もさまざまな視点でまちづくりを進める田中市長。一貫して目指すのは、暮らしやすく、子育てしやすく、長く住み続けたいと思えるまち・市川だ。
「人や動物、植物、すべての命を大切に、互いにいたわり合う。それができる行政、市川市にしていきたいと思います」