公開日: 2025年4月11日

「あいねすと」で 豊かな自然に親しむ

いちかわ新聞
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市川のオアシス

千葉県の鳥獣保護区である行徳近郊緑地にある「市川市行徳野鳥観察舎(愛称・あいねすと)」。令和2年9月に利用が開始され、翌月に全面オープン。今では年間約35000人が訪れる人気スポットだが、市内にありながらまだ行ったことがないという人も少なくないのではないだろうか。どのような施設でどんな楽しみ方があるのか、あいねすとで話を聞いた。

身近な緑地を守るため

かつて、開発のために次々と埋め立てられた東京湾岸。多様な生き物が生息する干潟が姿を消したため、昭和40年代に入ると、人工的に湿地環境を再生して生き物たちの楽園を残す試みがスタートした。昭和45年には、宮内庁新浜鴨場および隣接する83ヘクタールが、首都圏近郊緑地保全法により「行徳近郊緑地特別保全地区」として保全されることとなった。
行徳近郊緑地の保全と環境教育の拠点として旧観察舎(千葉県行徳野鳥観察舎)が建設されたのは、昭和54年。県の鳥獣保護区に指定されたのも、この年だ。
建物は市民や愛鳥家を中心に長く親しまれてきたが、老朽化と耐震強度不足などを理由に平成30年に廃止。その後、廃止を惜しむ多くの声を受けて市川市が新たな観察舎建設を決定し、現在の施設をオープンした。愛称の「あいねすと」は市川の頭文字のI・愛と、鳥の巣・安らぎの場所という意味のNESTをかけ合わせたもので、公募により名付けられた。

実際に見て、展示で確認質問もOK!

丸い2つの2階建ての建物をつなげた「∞(無限)」の字を描くデザインは、同緑地の持つ無限の可能性を表現。木造建築ということもあり、自然の中にやさしく溶け込んでいる。
中2階と2階には緑地を一望できる広々としたガラス張りの観察スペースがあり、無料貸し出しの双眼鏡や望遠鏡を使って季節の鳥や干潟の生き物をじっくりと眺めることができる。また、緑地の鳥や生き物などの自然や、行徳の街・人と自然のつながりを紹介する展示コーナーもあり、この地域について学ぶこともできる。
「写真展示や鳥の鳴き声の紹介もしていますので、実際に見た鳥の名前や特徴を確認できます。鳥や自然について知りたいこと、気になることがありましたら、専門員にぜひ質問してください」
毎週土曜日午後には、専門員の引率で無料の自然散策会も実施している(除外日あり)。定員は当日先着10人で、小さな子どもや車いすの人も参加可能。身近な自然を専門家の解説付きで楽しめる絶好の機会だ。
これから初夏にかけては、シジュウカラやカルガモなどがよく見られるという。特に繁殖シーズンである5月ころには、あいねすとの駐車場から塩浜橋まで続く遊歩道で、カルガモの親子が丸浜川を仲良く泳いでいる姿を見ることができるかもしれない。

自然の中でのんびり・ゆっくり

「野鳥観察舎」と聞くと鳥の観察のための場所というイメージがあるかもしれないが、あいねすとになってから、近所の人が訪れることが多くなったという。
周辺を散歩し、館内併設のカフェを利用したり、仲間とゆっくりおしゃべりしたり。
「ベビーカーを押したお母さんたちにもご利用いただいています。自然に親しみながらのんびりするなど、どなたでも気軽に使っていただきたい。また、5月の連休には親子で楽しめるイベントを開催予定ですので、ぜひホームページをご覧ください」

明るく開放的な雰囲気で、肩ひじ張らずに自然に親しむことができる「あいねすと」。豊かな自然が身近にある暮らしを、満喫したいものだ。

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