公開日: 2025年4月11日

第3回健康講演会「命を守るお口の健康」

行徳新聞
  • シェア
  • twitter

小林隆太郎さんが講演

市川市主催の健康講演会が3月17日(月)、全日警ホールで開催された。日本歯科大学東京短期大学の小林隆太郎学長が「命を守るお口の健康」と題して講演し、終盤に田中甲市長との対談を行った。市民約180人が参加した。

口は万病の元 大切な口腔健康管理

小林さんは、口を清潔に保つ口腔衛生管理、食べる、話すなどの機能を保つ口腔機能管理が、人の体全体の健康に関係することがわかり、近年重視されていると紹介。歯磨きや義歯の清掃など個人で励行する口腔ケアだけでなく、歯科医による衛生・機能面のプロのケアを加えた「口腔健康管理」が大切だと説いた。
たとえば、歯周病から生まれる炎症性物質が血液に入ると、インスリンの働きが低下し血糖値が下がりにくくなる。『糖尿病診療ガイドライン2024』(日本糖尿病学会)では、糖尿病対策として歯周病治療の必要性を挙げているという。ほかにも、誤えん性肺炎、認知症、脳梗塞、心臓病など数多くの病気が歯周病の影響を受けることがわかってきた。
「米国でも歯周病が100以上の病気に関わるという論文が発表され、歯科医療が注目されている。口は万病の元と言える」と小林さんは注意を促した。

歯周病治療で防ぐ 誤えん性肺炎、認知症

新型コロナウイルス感染症が蔓延した頃は、ウイルス性肺炎による死亡が多発した。米科学誌『ネイチャーメディシン』(2021年)に発表された論文では、不衛生な口内でウイルスが培養され、気管に入ったことで肺炎が起こりやすくなったと示された。
『成人肺炎診療ガイドライン2024』(日本呼吸器学会)でも、肺炎予防に口腔ケアが位置付けられた。
「当時は未知のウイルスに振り回され、患者の口の衛生管理まで手が回らなかった。ウイルス性肺炎と言われたものは、実は口の不潔が作用した誤えん性肺炎だったことがわかってきた」
また、歯周病と認知症の関係についても重要な指摘がある。
歯周病の慢性炎症は脳内炎症につながり、アルツハイマー型認知症を誘発する。歯の欠損やかみ合わせ低下は、脳で記憶などをつかさどる海馬に障害をもたらす。「2015年頃からその可能性が言われていたが、2024年、あらゆる論文や報告を精査して結論に達した事柄を発表する『アンブレラレビュー』において、それらが確かな事実であると発表された」

歯科医療で命を守る

小林さんは「口内の菌が肺に入らないよう、食後、特に夜の歯磨きは大事。そして、歯科で専門的な清掃を受けてほしい」と訴えた。
講演に続く対談で田中市長は「市は健康寿命日本一をめざしているが、そのためには口の健康がどれほど大切か学ぶことができた」と謝意を述べた。
講演を聞いた60代の夫婦は、「口腔健康管理が体全体の健康に関わるとわかり、さっそく実践したい」、そして、現在、歯周病を抱えているという50代の女性は「治そうと漠然とは思っていたが、早くしっかり治療しようと強く思った」と感想を述べて会場を後にした。



  • シェア
  • twitter
The following two tabs change content below.

行徳新聞

地元での知名度は抜群! 子育て世代からシニアまで幅広く支持される地元情報紙。詳細はこちら(明光企画HP)

月別アーカイブ