市川市で暮らす、パパ(父)と、おっか(母)と、ごはちゃん(猫)と、私(武井怜)の日常の、漫画と文章です。
ちょっと気になる「ご近所さんの生活」を、我が家のでよかったら、見てもらえたら嬉しいなと思います。
第21話
パパの靴は、パパが家にいるときも、玄関にありません。パパは、家に帰ってくるといつも、靴を、箱か何かにしまっているからです。だから私は、朝起きて、パパが、今日は仕事がお休みで、家にいるのか、仕事に行っていて、家にいないのか、わからない日が多いです。私は、絶対に今、家に、私と、ごはちゃんしかいないとわかっているときに、たくさんひとりごとを言ったり、歌ったり、突然踊ったり、妄想で会話を始めたりします。私は、「次は、何をやるんだっけ」と思ったときとかに、「そうしたら…」と言うのを、気づいたら、「そうしたらばがに」と言うようになっていました。私は、「そうしたらばがに」を、おっかの前では、恥ずかしくなく言えます。だけど、パパの前では、おっかの前で言う「そうしたらばがに」と同じようには、言いません。だけど最近、私は、「そうしたらばがに」くらいなら、ひとりごとで言っていることを知られても、恥ずかしくないなと思っていることに気づきました。私が、お風呂あがりに髪を乾かすことを、「髪乾かす」だから、「上川隆也」と言っていることは、おっかにも、パパにも話しました。だけど、歌ったり、踊り出したりするのを知られるのは、まだ、恥ずかしいなと思います。
一度だけ、私は、パパが家にいることを知らないで、家に、私と、ごはちゃんしかいないと思い込んで、過ごしていたことがありました。私は、あの日、どんなひとりごとを言ったり、何をしていたか、思い出せません。それに、思い出さない方がいいなとも思います。私が、パパがいるのか、いないのか、気をつけるようになったのは、それからかもしれません。
この前も、朝起きて、私は、パパがいるのかどうかわかりませんでした。だけど、パパたちの部屋から、寝息みたいな音が聞こえたような気がしました。だから私は、今日は、パパが家にいるのかもしれないなと思いました。
でも、時間が経っても、パパは部屋から出てこないので、私は、パパは、家にいないのかもしれないなと思いました。それで、いつの間にか、パパが家にいないのかもしれないなという気持ちを、忘れかけて、というか、パパは、いないんだろうな、と無意識に思っていた頃に、
「おはよう」
と、パパが現れて、トイレに消えて行きました。いる?いない…?いない…いた、という変化でした。動物園で、すみっこにいた動物をみつけたときの流れと、同じだなと思います。
<ご近所さんの生活>エッセイ漫画
ほかのお話はこちら
武井 怜
1988年生まれ。現在、両親と猫と千葉県市川市在住。動物、お笑い、海外のコメディ、甘いもの、お相撲などが好き。コミックエッセイ『気にしすぎガール~この世のあらゆる物事に気を遣いすぎる女の日常~』(KADOKAWA)発売中。