公開日: 2025年3月24日

<ご近所さんの生活 第20話 武井 怜>エッセイ漫画 【毎週更新】

baychibainfo
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市川市で暮らす、パパ(父)と、おっか(母)と、ごはちゃん(猫)と、私(武井怜)の日常の、漫画と文章です。
ちょっと気になる「ご近所さんの生活」を、我が家のでよかったら、見てもらえたら嬉しいなと思います。

 

第20話

おっかが、おっかのおばあちゃん、私のひいおばあちゃんの話を、時々してくれるので、私は、ひいおばあちゃんが、どんな人だったか、なんとなく知っています。ひいおばあちゃんは、お話が上手だったと、おっかは言います。そのお話のひとつに、きなこが、どうやってできたか、みたいなお話があります。

そのお話は、上の漫画に描いたとおりなのですが、

「昔、お豆が大好きな、おばあさんがいました。おばあさんは、家族に内緒で、お豆を、壺に隠しながら食べていました。ある日、家族に、お豆のことを気づかれそうになったおばあさんは、壺の上に座って、お豆を隠しました。そのときにおばあさんは、大きなおならをしてしまいました。そのおならは、壺の中の豆を、砕くほどでした。こうして豆が砕けて、きなこができたのです」みたいなお話です。

この前、私は、このお話を、おっかから久しぶりに聞きました。おっかが、「この話のせいで、きなこ食べられなくなった」って、前に、私に怒られたと言いました。私も、「きなこ」というと、おばあさんのおならを思い出して、少し不快、という時期があったことを覚えています。だけどなぜか、今、私は、これは、知らないおばあさんのおならで砕けたんだなと思いながら、きなこを食べることができます。だけどそれは、お話が、作り話とわかっているからだと思います。私は、本当に、知らないおばあさんのおならで砕けたきなこは、食べたくないなと思います。知っているおばあさんのでも、嫌だなと思います。

私がおっかから、このお話を初めて聞いたのは、ずっと前です。それで、いつの間にか私は、このお話を、間違えて覚えていたみたいです。私は、「おばあさんが、小麦粉みたいな、白い粉が入った壺の上に座っていたときに、大きなおならをしてしまって、白い粉に、おならの黄色い色がついて、きなこができた」というお話だと思っていました。だけど、私が間違えていたお話の、少なくとも一部は、正しいような気がしてきました。前に、おっかから、このお話を聞いたときに、おばあさんは、ひと休みするために、「よいしょ」と、お豆の壺に座った記憶があります。家族に隠して、あわてていた記憶がありません。確かに言えるのは、私は、「壺」と書いてきましたが、「壺」は、テキトーです。箱とか、それ以外かもしれません。

きなこといえば、おっかのお母さん、私のおばあちゃんは、白米や、ほうとうにまできなこをかけると、この前、書かせてもらいました。その回を、SNSでお知らせするときに、私は、その回には、まだ登場していない、ひいおばあちゃんの名前まで、うっかり書いてしまいました。私は、私のなかで、きなこといえば、ひいおばあちゃんの、このお話なんだなと思います。

 

<ご近所さんの生活>エッセイ漫画
ほかのお話はこちら

第1話 第2話 第3話 第4話

第5話 第6話 第7話 第8話

第9話 第10話 第11話 第12話

第13話 第14話 第15話 第16話

第17話 第18話 第19話

 

武井 怜

1988年生まれ。現在、両親と猫と千葉県市川市在住。動物、お笑い、海外のコメディ、甘いもの、お相撲などが好き。コミックエッセイ『気にしすぎガール~この世のあらゆる物事に気を遣いすぎる女の日常~』(KADOKAWA)発売中。

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