市川市で暮らす、パパ(父)と、おっか(母)と、ごはちゃん(猫)と、私(武井怜)の日常の、漫画と文章です。
ちょっと気になる「ご近所さんの生活」を、我が家のでよかったら、見てもらえたら嬉しいなと思います。
第14話
私は、しらすぼしのパックから、しらす以外の子を探すことが好きです。
しらす以外の子というのは、私が、これまでにみつけた子では、かにみたいな子や、たこなのか、いかなのかわからない子や、えびもいたと思います。シャコの抜け殻みたいなのも、いたんじゃないかなと思います。私は、みつけた子たちが誰なのかは、全然わかりません。だけど私には、この趣味の目標があります。それは、タツノオトシゴをみつけることです。
私は、みつけた子たちが、保存できる液体を入れた瓶の中で泳ぐ、小さくて、かわいい水族館を作りたいと思って、この趣味を始めました。だからおっかが、ふたが金色の、はちみつの空き瓶をくれました。そして、おっかと相談して、酢なら、小さな子たちが腐らないんじゃないかな、となって、瓶に酢を入れました。それで、たしかおっかの案で、小さな子たちを、酢に入れる前に、干すことにしました。おっかは毎回、私がみつけた、小さな子たちを乗せたお皿に、小さな子たちが飛ばされないように、いらなくなったストッキングをかぶせて、干してくれます。それで私が、次に小さな子たちを探すときに、それまで干していた子たちを、酢の入った瓶に入れて、私が新しくみつけた小さな子たちに、またストッキングをかぶせて干す、ということを繰り返してくれています。
だから、瓶の中では、小さな子たちの、かわいい水族館ができあがっている予定だったのですが、私が想像していた水族館にはなりませんでした。まず、小さな子たちがみんな、ミイラみたいな姿をしています。これは、考えてみたら、干しているから、あたりまえだなと思います。
次に、私は、小さな子たちが、酢の中をゆらゆら泳ぐと思いましたが、みんな、底に沈んでいます。だから瓶の中は、沈んだミイラの酢漬けになっています。そして、私は時々、しらすでも、とても大きい子がいたら、その子も酢行きにするのですが、なぜか、ある日の大きなしらす1匹だけ、酢の水面に浮いています。あと、大きなしらすか、小さな子たちのうちの、誰かの目玉も浮いています。だから、本当に、地獄みたいな瓶になってしまっています。
<ご近所さんの生活>エッセイ漫画
ほかのお話はこちら
武井 怜
1988年生まれ。現在、両親と猫と千葉県市川市在住。動物、お笑い、海外のコメディ、甘いもの、お相撲などが好き。コミックエッセイ『気にしすぎガール~この世のあらゆる物事に気を遣いすぎる女の日常~』(KADOKAWA)発売中。