公開日: 2025年1月17日

『憑きもの持ち迷信 その歴史的考察』図書館スタッフさんのおすすめ本

浦安新聞
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『憑きもの持ち迷信 その歴史的考察』

速水保孝/著(明石書店:1999年)
紹介してくれたのは… 浦安市立中央図書館 藤井さん

〈おすすめコメント〉

高度成長期前の日本では、狐や犬などの動物が人間に取り憑く「憑きもの」や、ある家系に憑くという「憑きもの持ち」が信じられていました。後者は必ずしも個人の憑依現象とは関係なく、社会的な要因によって生じた差別と考えられています。
実際に狐持ちの家の出である著者は、憑きもの持ちの家は江戸時代中期の新興地主階級に多く、彼らの富をひがんだ者たちによる村八分的迷信だったと分析します。
この本を読むまでは、狐憑きや犬神憑きの家系は迫害されて貧しいというイメージを持っていたのですが、実はその逆だったとは。世の中を見ていた目から鱗が剥がれ落ち、別の景色が見えて来る、そんな読書の醍醐味を味わうことができた本です。

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