株式会社アノニギワイ 代表取締役社長 山岡 優斗さん
三番瀬の景色に感動
新型コロナで在宅ワークが増えたことをきっかけに、都内から市川へ引っ越してきた山岡さん。自転車で出かけた三番瀬で、その景色に感動した。
「干潟がきれいで、海に映る空や雲がきれいで…。何か海に関わる活動がしたいと強く思いました」
東京湾は流域人口約3000万人という立地にありながら、多様な魚類が生息する豊かな海だ。
「三番瀬は、海苔養殖やアサリ漁の漁場、水鳥の生息地、レクリエーションなど、市川市民にとって大切な場所。しかし近年は磯焼けや赤潮、海洋ごみ、干潟の減少など課題も多いのですが、こうした現状を知っている市民が少ないと感じています」
「食」をきっかけに
まずは1人でも多くの人に東京湾に関心を持ってもらいたい。
そこで山岡さんが考えたのが、「食」。もともと食べること、とりわけ魚が好きだったこともあり、食品の開発と販売・食文化形成と啓発・課題のコンテンツ化を3つの柱に据え、活動をスタートした。
小学生が魚のさばき方を学ぶ「日本さばける塾in三番瀬」の企画・運営や「海のごちそうフェスティバル」への出店、千葉商科大学との連携でクロダイの商品開発にも取り組み中だ。
「養殖海苔の漁師さんはクロダイの食害に困っています。捕獲しづらく値段もつきにくいクロダイを利用できないか、模索中です」
メーカーとも試行錯誤を重ね、今年の商品化を目指している。
TMOでの学びがスタート地点に
何かやりたいと思っていたときに知人からTMOをすすめられ、受講。講座では市の施策や課題を直接聞き、市の三番瀬への考え方も知ることができた。
「地域で活動する上で行政の方向性を理解しておくことは重要。TMOで学び、市と関わりを持てたことで活動のスタート地点に立てました」
多くの心強い仲間にも出会えた。食品業界経験者から商品化のアドバイスをもらうなど、さまざまな場面で助けられているという。
2月には「さばける塾inいちかわ」を開催予定。要望もあり、大人向けのイベントも検討中だ。千葉商科大学付属高校とのコラボで、未利用魚の商品開発にも着手する。船に乗りながら海の幸を食べ、東京湾について考えてもらうなど観光との組み合わせにも思いを馳せる。
さらに山岡さんは、豊かな海を育むために欠かせない森を整備するボランティアも行っており、「海と森の課題を連携して考えたい」とも話す。
会社勤めと、地域のにぎわい創出を目指す自身の会社、ボランティア。海と森がある市川で、山岡さんの挑戦は続く。