さらに輝かせる社会的支援も紹介
若年性認知症を「誰もが当事者および関係者になり得るもの」として捉え、その理解を深めることを目的に、第2回「浦安市において若年性認知症を共に考えるシンポジウム」(社会福祉法人東京栄和会うらやす和楽苑主催、浦安市共催)が、11月24日(日)、浦安市文化会館小ホールで開かれた。
脳科学からみた認知症とは
初めに主催者を代表して鈴木信男東京栄和会理事長があいさつ。市民とともに若年性認知症について考える機会を設けることができ、大変うれしく思うと話した。
続いて内田悦嗣浦安市長が登壇。「浦安市では浦安市認知症とともに生きる基本条例を制定し、認知症に対する理解を深めるとともに若年性認知症の方が社会参加できる場の確保に努めている。シンポジウムを通して、若年性認知症への理解と支援の輪が一層広がることを期待する」と語った。
基調講演の講師を務めたのは、脳科学者の恩藏絢子氏。実母が65歳でアルツハイマー型認知症を発症。「母が母でなくなってしまうのでは、と毎晩泣いていた」そうだが、8年間の介護経験を通して、認知症研究に対する新しい視座を得たという。
研究では一般に脳の「傷つく部分」ばかりが強調されるが、実際には温存される部分も多数あり、能力が全て失われるわけではないこと、認知症の人格変化の研究もあくまでも「基準値」を述べているのであり、個性とは別物であること、つまり認知症当事者となっても、好きなことや得意なことといった「その人らしさ」は、最後まで失われないことを、実体験を交えつつ平易な言葉で解説。適切な声かけやサポートがあれば、ほぼ健常者と同じ生活を送ることができることにも触れ、「認知症にかかることを恐れるより、認知症を受け入れ一緒に生きていくにはどうすればいいか考えることが大切だ」と語った。
支援に携わるパネリストによるトークセッション
2部のトークセッションでは、若年性認知症の支援活動に実際に携わる4人のパネリストが登壇。若年性認知症の人にとって何より大切なのは、孤立せず社会に自分の居場所を作ることだという。その例として株式会社舞浜倶楽部の若年性認知症の集い「läka(レーカ)」に参加する当事者の声や、社会参加型デイサービス「あったけーのデイ」で当事者がスタッフとして働く姿が紹介された。本人の状況に合わせてさまざまな支援を行う若年性認知症支援コーディネーターの存在や障害者支援サービスの利用についても言及。浦安市で進む若年性認知症のためのさまざまな支援について意見が交わされた。
恩藏絢子氏