NPOスマイルー代表 フリーカメラマン 井崎 舞さん
地域に居場所があるということ
多世代交流「NPOスマイルー」代表として市民活動や地域活動に奔走する井崎さんの原点は、自身が立ち上げた子育てサークルだ。ママ友ゼロからスタートしたサークルは、数年で約300人が登録。2人の子どもを育てる中、仲間との交流で悩みから救われる経験をし、地域に居場所があることの大切さに気が付いた。
ただし、当時は「やりたいことをやっていただけ」で、市民活動に取り組んでいる意識はなかったという。
不思議な縁でTMOへ
TMOは修了生でもある知人のSNSで知った。受講内容に興味はあったが、子どもが幼かったこともあり、断念。しかし後に市民活動の仲間に「あなたに合っている」とTMOを勧められ、不思議な縁を感じたという。「スマイルーの活動をしながら、何ができるか考えていた時だったので、いちばん求めているのはこれ!とすぐに受講を決めました」
TMOでは自分の考えを整理し、見つめ直し、理解してもらえるよう伝えることの大切さを学んだ。講師や多様な活動をしている仲間から客観的な意見をもらうこともできた。
「市民活動をしながら行政とつながれる安心感もありました。大人になってから学ぶことができる、貴重な機会でした」
人や団体をつなげたい
現在20代~80代の19人が在籍するスマイルーでは、年1回の主催イベントのほか、市民まつりなど地域イベントへの出展、福祉施設でのワークショップ開催など幅広い活動を展開。こうした活動の目的は、子育て中、生きづらさを感じている人、シニア世代など、年齢や状況に関係なく、誰もが「行きたい・楽しい」と思える居場所作りだ。
「家庭や学校、会社ではない居場所があることは、体だけでなく、心の健康寿命にもつながるはず。得意なことがないとか、やりたいことが明確ではなくても、ワクワクする気持ちを大切にして参加してみませんか」
井崎さんの思いは、他の団体やサークルにも及ぶ。
「他の団体と関わることで活動や思いを知る機会も増えました。悩みで多いのが後継者不足。後継者になることは難しくても、何かしらサポートできることはあるし、興味を持っている人を紹介することもできる。福祉施設での伴奏型支援とともに、人や団体をつなげる中間支援的な役割も担っていきたいと思います」
小さな活動でも続けることで人は集まり、横のつながりが生まれ、広がっていく。かつて井崎さんが救われた「居場所」が、地域のよりどころとして根を張りつつある。