秋の浦をうすむらさきに染めて
海辺に秋の深まりを告げる「ウラギク」が行徳鳥獣保護区(通称/市川野鳥の楽園)で10月下旬に満開になり、一面に広がる淡紫色の群落が秋風に揺れていた。
ウラギクは漢字では「浦菊」。その名の通り、海に近い塩性湿地に群れ咲くキク科の植物。「ハマシオン」の名でも知られるが、開発などに伴い多くの場所で姿を消し、環境省レッドリストでは準絶滅危惧種、千葉県でも要保護生物に指定されている。
行徳鳥獣保護区内で観察会を開催しているNPO行徳自然ほごくらぶによると「今年は例年になく多数開花し、参加者に観ていただけてよかった。ウラギクの咲く塩性湿地は、東京湾から入ってくる海水と陸から流れ出る淡水が出合うところ。トビハゼや多種のカニなどが暮らし、澪を伝ってウナギも上ってきます。都市に残された貴重な汽水環境を大切にしていきたい」とのこと。
保護区は普段は立入禁止だが、日曜日などを中心に観察会が実施されている。11月中旬以降、ウラギクは花が終わり、種子に次世代の命を託す。かわって保護区を彩るのはノイバラやノブドウなど木の実。冬を越す小鳥たちの大切な食糧だ。観察会の詳細は「行徳自然ほごくらぶ」ホームページ等で告知。