家の近くに、美容室ができました。おっかが電話で予約を入れて、そこに初めて行った日のことです。
帰ってくるなり、おっかは、「ちょっと聞いてよー!!!」と興奮していました。話を聞くと、頼んでもいない円グラフ頭にされたわけでもなく、美容師さんがペンギンで、通貨が生魚だったという文句でもなく、とっても嬉しい話だったのです。その美容室で担当してくれた美容師さんが、おっかとパパが、前の職場の帰り道にあった美容室で、お世話になっていた美容師さんだったそうなのです。
美容師さんの方も、予約のときに、電話でおっかの名前を聞いてから、「あれ?」と少し思っていたそうです。その後、おっかが到着して、美容師さんは、さらに「あれ?」と思って、美容師さんを見たおっかも、「あれ?」と思ったそうです。そして、「あれ?」という空気が、あれあれあれあれ?と美容室に充満したところで、お互い「……ですよね?」となって、そこからはもう、とっても嬉しい驚きの再会に、興奮しっぱなしだったそうです。
しかも、本当なら、おっかの担当は、その美容師さんの旦那さんになる予定だったそうです。だけどその日、たまたま都合が変わって、その美容師さんになったそうです。ご縁を感じずにはいられないこの話を、パパが仕事から帰ってくると、おっかは、すぐにしました。もちろんパパも、とても驚いていました。前回書いたように、パパは、おしゃれが好きで、髪型にも、こだわりを強く持っているので、それまで、銀座の美容室まで通いつめて守り抜いてきた、ブライアン・メイスタイルを、そのときから、その美容師さんに受け継いでもらっています。
そして、今では私も、その美容師さんにお世話になっています。でも、今私は、髪の毛を伸ばしているので、その美容室に、一度しか行けていません。小さい頃、私は、美容室って、髪の毛を伸ばしてもらうこともできる場所だと思っていました。本当にそうなら、またすぐに行くのになぁと思います。一度行っただけでも、とても楽しい会話をしてくれて、居心地がとてもよかったです。仕上がりも、素敵にしてくださいました。これからも、我が家の猫以外が、お世話になります。
エッセイ漫画 <ご近所さんの生活> ほかのお話はこちら
武井 怜
1988年生まれ。現在、両親と猫と千葉県市川市在住。動物、お笑い、海外のコメディ、甘いもの、お相撲などが好き。コミックエッセイ『気にしすぎガール~この世のあらゆる物事に気を遣いすぎる女の日常~』(KADOKAWA)発売中。