人気作の誕生秘話から絵本の存在意義まで…
言葉を紡ぐ想いを語る
9月29日(日)、浦安市立中央図書館で、「令和6年度 子どもの本の講座 絵本が生まれるまで」が開かれた。毎年1回開かれている人気のイベントだが、本年度の講師として迎えられたのは、児童文学作家の小風さちさん。
小風さんは1955年生まれで1977年から1987年までイギリスに滞在。帰国後の1994年、『ゆびぬき小路の秘密』で野間児童文芸新人賞を受賞した。「わにわに」シリーズや『よ・だ・れ』など、子どもたちに人気の絵本を多数執筆している。
講演ではまず、赤ちゃん絵本『ぶーぶーぶー』ができるまでが語られた。この本は、小風さんが赤ちゃんのための作品を手がけるきっかけとなった1冊だとか。
最初に書いた原稿は編集者から即座に突き返されたこと、「絵本のための言葉を紡ぐ」ということが何か掴めるまで試行錯誤を繰り返したこと、ある出会いをきっかけに「体に息が吹き込まれるような気持ちがして」あっという間に作品を書き上げたことなどが生き生きと語られた。
また、人気作『わにわにのおふろ』誕生のきっかけが「石神井公園の池のワニ騒動」だった話をはじめ、絵本の肝が「リアリティある世界観」にあること、自分の目と足を使って造形することの大切さ、作品にたびたび登場する「擬音(オノマトペ)」が生まれるまでや、今一番心惹かれている絵本企画「世界昔話の旅」の紹介など、話題は多岐にわたった。時にユーモアを交えながら「絵本が生まれるまで」のさまざまな行程が、じっくりと丁寧に語られた。
講演の最後には質疑応答の時間も。言葉を選び真摯に答える姿に、「機会があったら小風さんの講演会にまた参加したい」という声が多数聞かれた。
小風さんによる絵本の朗読も