平和への願いを乗せ
毎年終戦の日に行われる「第26回 旧中川東京大空襲犠牲者慰霊灯籠流し」(旧中川灯籠流し実行委員会主催)の前に、区立平井南小学校(平井3)で7月16日(火)、6年生44人を対象に、空襲被害の講話や「灯籠づくり」などの平和学習が行われた。
約10万人もの命を奪ったといわれる1945年3月10日の東京大空襲。旧中川沿いの小松川・平井地区では、約4万人が罹災し、猛火に追われて旧中川に両岸から飛び込むなど、約3000人が命を落としたといわれている。
今年で26回目を迎える「旧中川東京大空襲犠牲者慰霊灯籠流し」は、東京大空襲の犠牲者の慰霊を目的に、1999年から毎年、終戦の日に開催。参加者は川面に灯籠を浮かべ、鎮魂の祈りを捧げる。
実行委員会では、初回から近隣小学校の6年生全員に灯籠を無料で配布。今年も約420人の児童に配布した。
旧中川に最も近い平井南小では毎年、平和学習として空襲被害を伝える講話や灯籠づくり教室を行っており、この日、実行委員会の江頭正恭会長、清藤公清さん、芳賀美行さんらを招き、6年生に向けて平和学習を行った。
初めに、江頭会長と清藤さんが、東京大空襲による被害状況などを説明。「焼夷弾の投下で火災が発生し、旧中川に追い詰められて多くの方が亡くなりました。灯籠流しを通して、慰霊の気持ちを家族や周りの人に伝えていってほしい」と話した。
続いて、児童は江頭会長ら実行委員やボランティアの指導の下、平和への祈りを捧げる灯籠を、心を込めて組み立てていった。
灯籠づくりを教わった児童は、「東京大空襲での被害を聞いて、この地域にも悲しい出来事があったのだと知りました。灯籠流しの日は、平和を願って灯籠を流したいと思います」と話した。
江頭会長は、「東京大空襲での旧中川沿川での被害を知る世代はだんだんと減少しています。戦争の痛ましさを風化させないためにも、この灯籠流しを末永く続けていきたい」と語った。
「第26回 旧中川東京大空襲犠牲者慰霊灯籠流し」は、8月15日(木)の終戦の日に開催。当日は、平和への願いを込めた約1500個の灯籠が両岸から流され、鎮魂の祈りが捧げられる。