公開日: 2024年7月22日 - 最終更新日: 2024年7月22日

歯と健康

いちかわ新聞
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口腔機能発達不全症を知っていますか?

年々増加しているという「口腔機能発達不全症」。
どんな疾患なのか、予防法は? 市川市歯科医師会の中野洋子歯科医師に話を聞いた。

全身の健康および健康寿命にも関係する
口腔機能の発達

口腔機能発達不全症とは、先天性の疾患などのない健常児において、食べる・話す・呼吸などの機能が十分に発達していない、もしくは正常な機能を獲得できていない状態を指す疾患です。
口腔機能は、ほかの身体機能と同様に乳幼児期・学齢期において獲得され、ある一定レベルまで発達した後、成人期にはその機能を維持し、加齢に伴って高齢期に低下していきます。
小児期に十分な機能が獲得できずに口腔機能のレベルが一定以上に到達できない場合、成人期に適切な口腔機能を発揮できなくなり、高齢期の機能低下に拍車がかかる恐れがあります。高齢期においての著しい機能低下は、自立して人生を楽しむ、人とのつながり・社会性を持つことを困難にして、健康長寿の妨げになりかねません。(図参照)

保護者が気付いて早めの対応を

いつも口をぽかんと開けている、いつも前歯が見えている、活舌が悪く言葉が聞き取りにくい、ろうそくが吹き消せない、ご飯を食べるのに時間がかかる、そんな子はいませんか? その子は口腔機能の発達が十分ではない可能性があります。
一つの癖から口腔機能の発達が妨げられる場合もあります。例えば、指しゃぶりが長く続くと、上の前歯と下の前歯の間に隙間ができ、食べ物を飲み込むときに隙間を埋めるために舌を前歯の間に挟むようになります。すると舌に押された前歯の隙間はますます大きくなり前方に押し出されます。そして前歯が前に出てくると、唇を閉じるのが難しくなり口をぽかんと開けて、口で呼吸をするように。すると口の中が乾き、口臭が強くなったり、虫歯や歯周病が悪化しやすくなるのです。
また前歯に隙間があると、前歯で適量の食べ物をかじり取ることができずに、奥歯で噛む時間が長くなったり(食事時間の延長)、噛まずに丸のみしてしまったり、そもそも食べづらいので硬いものを食べなくなったりします(偏食)。
このような悪循環に陥っていても本人は気付いていないことが多く、保護者が気を付けて見て歯科医に相談することも重要です。早期に気付いて早期に介入することで口腔機能の成長を正しい方向に導いてあげましょう。
家庭で簡単にできるトレーニングとしては、ブクブクうがいやあいうべ体操、風船を膨らませるなどがあります。ほっぺをしっかり膨らませて右・左と30秒計って毎日うがいをしてみましょう。唇、ほっぺの筋力アップ、鼻呼吸の練習になります。

歯科医院では口腔機能の発達を確認するために計測機械を用いて機能を数値化することもできます。お子さんの口腔機能が気になる場合は一度歯科医院を受診してみましょう。

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