公開日: 2024年7月2日

猫が「うららか」に 暮らせる世界にしたい

いちかわ新聞
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「里見ねこうらら」の保護猫活動って?

「母が大の動物好きで、幼いころから猫と一緒に過ごしてきました。もう、家族です」と笑うのは、「(一財)里見ねこうらら」の代表、里見のり子さんだ。

外にいる猫を「ゼロ」にしたい

個人で保護猫活動を始めたのは、25年前。きっかけは、共に暮らしていた愛猫「イヴちゃん」を亡くしたことだった。「とても悲しくて、喪失感からずっとインターネットで猫の動画を見ていました。かわいい動画に癒されていましたが、見ているうちに過酷な境遇にいる猫たちがいることを知りました」。里見さんの猫への感情が「好き」から「保護したい、助けたい」に変わっていった。
「里見ねこうらら」の目指す場所は「野良猫(外にいる猫)を減らす、ゼロにする」こと。保護活動といえば野良猫を「捕獲(T/トラップ)」し、「避妊去勢手術(N/ニューター)」を行い「地域に戻す(R/リターン)」というのが一般的だが、それを「R(ルーム)」とし、活動を支援している「ねこうらら 南八幡ねこるーむ」で猫たちを一時保護している。ねこうららでは定期的に譲渡会を開催し、信頼できる猫と暮らしたい人たちとの縁を結んでいる。
ねこるーむには常に40~50頭ほどの猫たちが一緒に暮らす。譲渡会では、まず希望者がエントリーシートを提出。さまざまな条件をクリアし、「ねこうらら 南八幡ねこるーむ」のスタッフの手を借りながら1~2週間かけて、脱走防止の設備の設置など、自宅の環境を整えていく。じっくり時間をかけて準備をしながら、猫たちの新しい家が決まる。

崩壊する「多頭飼育」の現場

保護が必要な猫が地域に溢れてしまうのは「多くは、人間の問題であることが多いんです」と里見さん。
野良猫にご飯だけをあげたり「かわいそう」だと言って避妊手術を行わず、猫がどんどん増えてしまう。多頭飼育が崩壊している現場を何件も見てきた。「酷いときは共食いをしてしまったり、近親で交尾をしてしまい、生まれてきた子が障害を持ってしまったり。そして、周囲の人たちは糞尿問題に困っている」
多頭飼いをしてしまう人は、情報にアクセスできず、どうしたらいいか分からないという人も多いという。「なるべくその方のお気持ちを尊重しつつ、猫たちにとっても良い環境になるようにアプローチできるよう努力しています」と、試行錯誤を続けている。

相談窓口にもなる「リアル店舗」をオープン

7月7日(日)には猫と花をモチーフにした作品(フィギュア、絵画、ウェルカムボードやエプロンなど)を展示した「猫うららShop」をオープンする。チャリティー商品の売り上げは保護猫活動の支援金として寄付される。
「店舗を展開することで、窓口として相談しやすくなるかと思い、オープンすることに。気に入ったグッズを買っていただくことで、保護猫の支援もできるようになっています」

「里見ねこうらら」という名前には「猫たちがうららかに過ごしてほしい」という願いが込められている。「猫たちがうららかに昼寝をしている姿。それこそが、世界が平和な証拠だと思っているんです」

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