公開日: 2024年5月27日 - 最終更新日: 2024年5月27日

いちかわ俳壇

いちかわ新聞
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毎回特選2句、佳作3句を掲載し、特選には選者からコメントがあります。選者は、俳人協会会員、結社「沖」同人の峰崎成規さん。

<選者略歴>
峰崎成規。昭和23年生まれ。俳人協会会員。結社「沖」同人。平成25年第27回千葉県俳句作家協会新人賞受賞。平成26年「沖」同人、沖新人奨励賞受賞。平成28年第十六回手児奈文学賞受賞。

選者コメント

俳句は、季語を伴い、言葉が十七音に圧縮されて韻を踏む詩型です。散文のように、見たもの、感じたものを細かく説明しないで、簡潔に表現する短詩です。「饒舌にならないこと」つまり説明不足が、詩としての余情余韻を生み出すのです。詠み手は「楽しい」「嬉しい」「悲しい」などの感情を直接表現しないで、対象である「物」を的確な言葉に置き換えて、読者に余情余韻を喚起させるのです。高浜虚子は「平明にして余韻のある句」が佳句であると説明しています。
「白牡丹といふといへども紅ほのか」高浜虚子

特 選
逃げ水の中より現るる宅配便 宮久保/正美

【評】 逃水は日差しが強くなると、地面付近に現れる蜃気楼の現象です。追えばまたその先に蜃気楼が現れるというので「逃水」と言われています。そんな逃水の中から宅配便がやって来るという景を詠んだ句です。逃水を追うという句は多くありますが、反対に逃水から何かがやって来る、何かが現れてくるという逆の発想は珍しく、面白い句になっていると思います。

特 選
桜満つ慣れぬ齢に慣れてゆく 松戸/若仙人

【評】 桜は毎年春に花を咲かせます。人は老いを感じると桜が咲くたびに、齢がまた一つ重なることを実感します。人は一年を経過すれば、常に新しい齢を迎えることになり、七十歳の人は七十一歳の新しい齢となります。しかし、いつの間にかその七十一歳にも慣れてゆき、一年経過した年の桜の満開時には、七十二歳の新しい齢となります。しかし、人はまたその齢にも慣れていくのでしょう。

佳 作

囀りに誘ひ出される朝日かな 国分/青空
土器に溢るるばかり花菫 葛飾区/白翠
春風や陶の狸に大福帳 八幡/ニアピン

応募方法
投稿は、はがきか「ベイちばinfo」の申し込みフォームから。

はがきの裏面に俳句2句(自作・未発表の句に限る)、郵便番号、住所、氏名(ふりがな)、俳号またはペンネーム(掲載の際に使用する名前)、年齢、電話番号を明記の上
〒272-0143 市川市相之川3-2-13
いちかわ新聞「いちかわ俳壇」係 まで
※掲載は7月下旬頃を予定しています。
<応募の際の注意点>
・当季雑詠(二句まで)。前書き、振り仮名およびルビは基本的に不可。
※実際に掲載されるのは、俳句・俳号またはペンネーム・(番地を除く)町名です。俳号またはペンネームの記載がない場合、「匿名希望」として掲載しますので、ご注意ください。

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