難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)患者として闘病中の青木渉さん(35)による講演会が4月13日(土)、全日警ホール(八幡4)で開催され、市民ら100人余りが参加した。
青木さんは市川市に生まれ育ち、在住している。ALS治療に効果が認められ米国で2023年4月に承認された新薬「トフェルセン」を用いた治療に、日本で先駆的に挑んでいる。ALSは全身の筋肉がやせていく難病。国内の患者は約1万人と言われるが、治療法は確立しておらず、新薬への期待は高い。
スポーツマンで4店舗の飲食店の店長として元気に働いていた青木さんは、33歳の時にALSを発症した。「ALSとわかったときは絶望したが、新薬のことを知り、あきらめてはだめだと思った」
海外で実用されている薬が国内で承認されるには制度的に年月を要し、「ドラッグ・ラグ」とも称される。同新薬の国内承認を待っていては病が進行してしまうので、米国から直接購入するしかなく、それには年約3千万円の費用がかかる。
「ALSやほかの難病を持つ人たちの将来にも、自分の挑戦は意味がある」という青木さんの思いを受け、友人・家族ら支援者は「青木渉サポーターの会」を結成し、募金と、国に新薬の早期承認を求める活動を続けてきた。
青木さんの新薬投与は月1回ペースで昨年9月にスタート。「症状の進行が明らかに止まったのを医師も私も実感している。特に副作用もない」
講演中に青木さんは支援に対し何度も感謝を口にした。「私が前向きになれたのは新薬だけでなく、多くの人の優しさを知ったから。病気がきっかけで人との出会いや気付きを得られた」
最後に闘病している人たちへ「つらいのは私もよくわかる。でも、時には病を忘れて人生を楽しみましょう。希望を持ちましょう」と締めくくり、会場は拍手に包まれた。
講演を終えた青木さんは「半年前にはこうして講演できると想像もしなかった。新薬が早く国内承認され、助かる命が助かるよう願う」と話した。
サポーターの会では、3カ月に1回500円を寄付する人が1万5千人いれば、今後も新薬投与を継続できるとPRし、広く支援を呼びかけている。