健康寿命を延ばそう
健康で、生活習慣病になりにくい体づくりに大切なのは「運動と食事」。
ふだんなかなか管理できないと思っている人でも、少し意識を変えるだけで健康寿命は延ばすことができる。
日々の運動と食事について押さえておきたいポイントを、行徳総合病院で管理栄養士を務める齋藤里月さんに聞いた。
管理栄養士の齋藤里月さん
プラス10分、すき間時間に体力づくり
健康づくりの手始めは?
「まず適度な運動を心がけてみませんか」と齋藤さんは話す。
適度な運動は、生活習慣病の予防に加え、骨・筋肉を育て、脳の活性化や上質な睡眠に効果があるという。
厚生労働省は、健康寿命を延ばそうと、今より10分多く体を動かす『+10(プラステン)』を提唱している。たとえば、毎日バスで移動する区間を10分歩いてみる。家事をしながらつま先立ちしたり、すき間時間に肩回し、脚上げやストレッチをしてみる…など。
「1日10分、背筋を伸ばし大股で歩くと約38.3キロカロリー消費します。1年続けたら約1万3788キロカロリー。これは約2kg減量するときの消費カロリーに相当します」
標準体重と必要なエネルギー量を知ろう
運動で体力を向上させつつ、食事でベストの体重に誘導することが大切になる。それにはまず「標準体重、必要なエネルギー量を知っておくこと。それにあったバランスよい食事を続けることがポイントです」。
標準体重の求め方は、身長(m)の2乗に22を掛ける。この「22」はBMIと呼ばれる指標で、成人の場合22を掛けて得られる体重が、生活習慣病になりにくい標準体重と言われている。65歳以上の場合は、BMI21.5~24.9で計算する。
一方、1日に必要なエネルギー量は、標準体重にある数字を掛けて求める。デスクワークや家事中心の人は25~30を掛ける。主に座っているが移動や接客など立ち仕事もある人や、散歩の習慣がある人は30~35を。スポーツや激しい運動をする人は35より上の数値を掛ける。
たとえば、標準体重56㎏で家事中心の人が1日に必要なエネルギー量は、56×25~30=約1500キロカロリーという計算になる。
糖質、炭水化物、たんぱく質を適量に
では、必要なエネルギーをどう取るか。糖質は少ないほど良いのか、たんぱく質を多く取るほど筋肉に良いのか。「必ずしもそうではありません」と齋藤さん。
「糖質を減らすと一時的には痩せるが、代謝が低下し、太りやすい体質になることも。また、余分なたんぱく質は脂肪となり、腎臓にも負担をかけてしまいます」
1日に食べる炭水化物は、必要カロリーの10分の1(1500キロカロリーの場合は、米飯150g)が適量。主食が少なくおかずが多いと、肥満、高血圧、脂質異常症のリスクが高まるので注意。
1日に摂取するたんぱく質は標準体重の1000分の1(標準体重56㎏なら、肉など56g)が適量。肉・魚約80gにはたんぱく質が約15g、豆腐150gまたは卵(Mサイズ)1個にはたんぱく質が約6g含まれている。
「これらを参考に必要なカロリーを取れる主食、主菜、副菜を組み合わせ、3食の献立を考えましょう」と齋藤さん。
運動と食事の改善、健康づくりを意識して、少しずつ始めてみよう。
講演会ではストレッチの実演も行った
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本情報は、行徳新聞・いちかわ新聞・浦安新聞・葛西新聞各紙 2024年4月19日号に掲載しています
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