日ごろの備えで命を守る
いざというとき自分や周囲の命を守るため、日ごろから考えておきたい防災。
被災したらまず何をする? 準備しておいたほうがいいことは?
市川市危機管理室危機管理課の土屋さんに話を聞いた。
流れる「デマ」に注意正しい情報を受け取って
市川市で予想される災害で、特に懸念されるのが直下型地震だ。
市が試算した「東京湾北部地域を震源域とするマグニチュード7.3、深さ20㎞の地震」では、市内全域で震度6弱(立っていることが困難)、南部を中心に震度6強(這わないと動くことができない)の揺れが予想されている。
市川市では震度5強以上を観測すると、地域防災計画にしたがって災害対策本部が自動的に立ち上がり、全職員が参集・配置される。
本部へは、災害時の拠点となる小学校やパトロール部隊、警察や消防から、被災状況の報告が集まってくる。
それをもとに対策の検討や人員の調整などを行っていく。
「情報や避難指示は、市公式Webサイトや公式SNS、防災無線やケーブルテレビ、ラジオ(市川うららFM)などで発信していきます。
災害発生時には真実に混じって必ずと言っていいほど『デマ』の情報が流れます。決して広めないように、公的機関から直接情報を受け取ることを意識してください」
在宅避難するための「備え」をしよう
「地震時は、まず身の安全を守ることを第一に考えてください」と土屋さん。
大規模地震が発生した場合は、まず自分や家族の安全を確保し、揺れが収まったらブレーカーと火の元をチェック。
窓や玄関などを開け避難経路を確保しておく。
津波警報や注意報など津波の情報を確認。津波の恐れがある場合は沿岸部から退避し、3階以上の建物へ避難。
津波の恐れがない場合は、現在地に火災が迫っていないかや、避難指示などを確認する。
「避難指示があったり、火災の危険が迫っていたりする場合は、近くの避難場所に一時避難してください」
避難場所は主に公園や広場、校庭など開けた場所に設定されていて、一時的に避難する場所だ。
また、大規模地震では火災が同時に多くの場所で発生する恐れがある。
広域延焼火災で危険が迫っている場合は、そこから「広域避難場所」へ避難することもある。
「いったん避難し様子を見て、状況が落ち着いたら自宅の被害を確認してください。自宅に被害がなかった場合は在宅避難を推奨しています」
というのも、避難所での集団生活はプライバシーの問題や衛生環境などストレスが多くかかる。
市では避難所の生活環境の改善策として、プライベートテントやスマートフォンが充電できる蓄電池の設置など準備を進めているが、数も限られており、まだ完全というわけではない。
日ごろから1週間以上の備蓄をしておいて、自宅が無事な場合は在宅避難ができるよう備えておくことが大切だそうだ。
自宅に被害があり生活ができない場合は、「避難所」などで避難生活を送ることになるが「必ずしも市が開設する避難所でなくても構いません。親戚・知人宅など、ほかに安心して生活できる避難先があれば、そちらも選択肢の一つです」。
避難所は自主運営 地域のつながりが大事に
市川市では今年1月、市職員と小学校区防災拠点協議会委員、自治会員が総合防災訓練で避難所の開設を行った。
「避難所運営の基本は、避難所利用者本人による『自主運営』です。これが一番スムーズに運営できると言われており、また利用者自身が運営に参加し人の助けになることで、心の支えとなる一面もあります」
市川市では、能登半島地震の災害支援として市職員を派遣した。
「職員たちは避難所の運営支援などに携わりましたが、皆『地域のつながりが強く、避難所の自主運営がしっかりできていた。
日ごろからの顔の見える関係作りが大切だ』と肌で感じたそうです。
日ごろから自治会で行われている防災訓練やイベントなどに参加するなどして、顔見知りになっておいてください。非常時こそ、地域のつながりが大切になってきます」
【備蓄品チェックリスト】
食料
- 水
- レトルト食品など
感染予防対策
- 消毒液
- 体温計
日用品
- トイレットペーパー
- 眼鏡・コンタクトレンズの予備
- 水のいらない石鹸・シャンプー
- ウェットティッシュ
- デオドラントボディシート
- カセットコンロ
- 給水袋
- 携帯トイレセット(凝固剤)
- 使い捨てカイロ
- 携帯電話の充電器
- モバイルバッテリー(ソーラー式のものが便利)
- 工具
- 口腔ケア用品
- 食品用ラップ
<家族構成によって追加>
高齢者
- 入れ歯洗浄剤
- オムツ
- 尿漏れパッド
- おしりふき
- 介護食
女性
- 生理用品
- おりものシート
- 痛み止め
乳幼児
- 粉ミルク
- 離乳食
- オムツ
- おしりふき
- 哺乳瓶
- 哺乳瓶用消毒液
- お菓子(食べなれているもの、好きなもの)
ペット
- ペットフード
- トイレ用品
- ケージ
- リード
- 移動用リュック
※その他、必要なものを普段からリストアップしておくとよい
【非常用持ち出し品】
- 懐中電灯・予備電池
- 携帯ラジオ
- 救急箱・常備薬
- マスク
- 通帳・印鑑
- ライターやマッチ
- ろうそく
- ナイフ
- タオル・毛布
- ティッシュ・ビニール袋
- 現金・保険証
- 手袋
- 衣類・スニーカー
(スニーカーはベッドの横などに置いておくといい)