公開日: 2024年1月15日 - 最終更新日: 2024年7月30日

健康の話 【糖尿病】

浦安新聞
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全身疾患につながる糖尿病のサインを見逃さないで

年々増加傾向にある糖尿病。「身近な病気だからといって、自己流で対処している人が多いのでは」と懸念する、西葛西駅前糖尿病クリニックの大木葉宣昭院長に、この病気の症状や治療・予防法などについて話を聞いた。

糖尿病とは何か

糖尿病とは、血糖値を下げる役割であるインスリンの作用が低下し、血糖値が高い状態が慢性的に続く病気です。空腹時の血糖値が126㎎/㎗以上、食後の随時血糖値200㎎/㎗以上、血糖値の1~2カ月の平均値を表すヘモグロビンA1c(HbA1c)6・5%以上といった数値に達すると、糖尿病と診断されます。ここ50年で急激に患者数が増え、予備軍を含めると、国内の患者数は現在、2000万人(平成28年国民健康・栄養調査)とも言われています。その背景には、日本人はそもそも欧米人に比べインスリンが出にくい体質であるのに加え、食の欧米化や車の普及による運動不足などがあると思われます。
血糖値が長く高い状態が続くと、さまざまな臓器に合併症の危険が生じたり、ウイルスや細菌に感染したときに重症化しやすくなります。
合併症の例としては、目の網膜症、腎症、手足のしびれ等の神経障害などで、さらに血圧やコレステロールの数値も高くなると、脳梗塞や心筋梗塞、足の動脈硬化を引き起こします。また、手術が必要な病気が見つかった際も、血糖値が高いと傷口の治りが悪かったり感染症の危険があることから、「まずは血糖値を下げてから手術予定としましょう」と、すぐに手術を受けられないリスクも生じてしまうのです。

主な治療法は4つ
医師としっかり相談を

血糖値がかなり高くなると、のどの渇き、飲水過多、多尿、つかれやすい、体重が落ちるといった症状が出る場合がありますが、若くから健診を受けて血糖値が少し引っかかるくらいの時期では特に症状はありません。
重い合併症の危険がある病気でありながら、健康診断で「要再検査」と言われても病院に受診しない人がいるのは、初期症状が軽いのも一因です。「来年の健康診断までに食生活を改善して運動して様子をみる」と言っている間に症状が進んでしまうことも多々あります。再検査と言われたら必ず専門医を受診すること。早期に治療を開始すれば通院の負担も薬も少なくてすみます。
糖尿病の治療目的は、血糖値を下げることで糖尿病が原因となるさまざまな合併症を予防することです。
主な治療法は、食事、運動、投薬、インスリン注射の4つ。患者さんの症状や、体格、どんなライフスタイルを希望されるかなどを考慮して治療法を選択します。患者さんは「一生薬を飲み続けるのか」と心配されますが、たとえばインスリン注射を一時的に使用することで血糖値を下げ、症状が落ち着いたら注射をやめることも可能。必要以上に怖がる必要はありません。
大切なのは、医師としっかりコミュニケーションを取り、納得した治療を受けること。糖尿病の治療はライフスタイルに密着しています。QOLを下げずに治療できる方法を、遠慮なく医師と相談してください。

糖尿病=不摂生ではない

バランスの良い食事、よく噛んで食べる、体重管理、適度な運動、睡眠など、生活習慣を整えることが糖尿病の予防につながります。
ただし、必ずしも不摂生をする人がなる病気とは限りません。
糖尿病の90%以上が生活習慣病と言われる2型糖尿病となりますが、痩せている方でも家系に多いため発症しやすい人、生活習慣に関係なく自己免疫異常などで発症する1型糖尿病(インスリン注射が必須)の方もいます。
ご自分自身や周りで糖尿病の方がいたとしても、「不摂生だ」と決めつけたり、ネガティブなイメージを持たないでください。
より早い時期に治療を始め、良い血糖値を保つことにより、糖尿病でない人と変わらない生活を送ることができるため、前向きな心境で病気と付き合い、健康な生活を過ごしていただきたいと思います。
40代の男性の受診率は特に低いので要注意。症状が出てきたら進んでいることが多いので、症状が出る前にぜひ受診してください。

西葛西駅前糖尿病クリニック 大木葉宣昭院長
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