90周年記念イベント目白押し 地域通貨「ICHICO」も好評実施中
市制施行90周年を迎えた2024年を、田中甲市長は「忙しい一年でした」と改めて振り返る。記念式典をはじめとしたさまざまな記念行事の開催のほか、名誉市民・市民栄誉賞の決定、青春時代の約20年間を市川市で過ごした歌手・さだまさしさんを市川市親善大使に任命するなど、盛大に記念すべき年を彩った。「なかでも、さかなクンの講演や『出張!なんでも鑑定団in市川』といった華やかなイベントが、非常に市民の皆さんに喜ばれました」と、手ごたえを話す。
そのほか、市内の自治会をすべて回るタウンミーティングの実施、松戸市との行政パートナー協定、「行徳の神輿文化と祭礼」を市指定無形民俗文化財に指定するなど、市政は一年を通してさまざまな分野で精力的な動きを見せた。
昨年度から継続して導入したデジタル地域通貨「ICHICO」事業は、2回に分けて市制施行90周年記念キャンペーンを実施。最大で利用金額の20%が還元されるお得な取り組みに、利用する市民から好評を得たという。「トライ&エラーを繰り返して発展させることが、市民のためになるはず。23年度の市内の経済効果は推定で3億1000万円ほどでした。現在も少しずつ伸びています。長期視点で考え、継続して取り組んでいきたい」と前向きだ。
安心・安全で住みやすい街へ 市民に直接役立つ支援を
2025年も新たな施策は目白押し。いわゆる「闇バイト」が絡んだ強盗事件が発生したことを受け、緊急対策としてカメラ付きの防犯灯を住宅地などに100台増やす。経費1870万円を補正予算に組み込み、スピーディーに推進する予定だ。また、3月には「八幡市民交流館 ニコット」「ぴあぱーく妙典COCO」がオープンし、「国府台スタジアム」が完成予定。次期クリーンセンター整備・運営事業も入札の準備が進められており、大型施設の建設ラッシュだが、いずれも前市長時代から議論が進められていたもの。「先延ばしにされてきたことに、取り組んでいるだけです。私自身は、貴重な財源は直接市民に役立つ施策のために使いたいと常々考えています」と、あくまで市民に寄り添った姿勢を強調する。
また、2050年に二酸化炭素排出量実質ゼロを目指す「カーボンニュートラルシティ」を表明している市としてさらに進化すべく、環境省が打ち出している「脱炭素先行地域」への応募を計画している。全国で100の自治体が選ばれる予定で、選定されれば地域脱炭素移行・再エネ推進交付金を取得できる。「市川市の場合は、賃貸の建物が立ち並ぶ市内の住宅密集地域での脱炭素を提案します。太陽光パネルなどを設置して、クリーンエネルギーを循環させる計画です。昨年、京葉ガスと結んだ新電力会社設立協定を大いに活用したい」と田中市長。
加えて、人口減少や少子化対策でも、独自の施策を検討中だという。国は、結婚新生活支援事業の一つとして、結婚に伴う経済的負担の軽減のために新婚世帯に対して新生活の初期費用(特に新居の住宅費用や引っ越し費用)を支援しているが、それだけではなく、一定の基準をクリアしたカップルに対して、市としてより踏み込んだ支援を行っていきたいとのこと。
膿を出し切って信頼を取り戻す 地元愛を原動力にさらに邁進
そして、田中市長が現在の市政の一番の課題としているのが、下水道部次長が業者から飲食接待を受け、工事の落札に有利な情報を教えたとされる汚職事件についてだ。「本腰を入れて、膿を出し切るのが使命だと感じています。コンプライアンス委員会議が音頭をとり、正規職員・会計年度任用職員合わせて約5500人の職員へアンケートを実施しました。そこから挙がった声をもとに、さらに確固たる策を検討するつもりです。市民から信頼される行政をつくる一年にしたい」と誓う。
多くの自治体が人口減少に頭を悩ませる中、市川市は微増している稀有な自治体である。
「より一層、ここで暮らしたいと思ってもらえるような街づくりをしていきたい。市川市の最大の魅力は、住民の皆さんの地域を思う地元愛だと思っています。地元を想う市民の存在が何よりの宝です。次の世代のために、問題点を隠すことなく向き合っていきます。ぜひ戦う姿を見ていてほしい」
田中 甲 市川市長