公開日: 2024年12月2日

エッセイ漫画 <ご近所さんの生活 第5話 武井 怜>【毎週更新】

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第5話

私たちが暮らしているのは、市川市の大町というところです。大町といったら、なんといっても「梨」です。9月に、姉の家族に梨を送るために、おっかと、梨屋さんに行きました。

梨屋さんに着くと、ひよこが、5羽密集したくらいの大きさの梨もあって、私は、その大きさにびっくりしました。それと、梨の種類によって、皮の色が違って見える梨もあるという発見をしました。

下に置いてあった箱の中に、私も、おっかも、初めて聞く種類の梨が入っていました。その梨の種類の名前は、忘れました。おっかは、その梨を、我が家用に買って帰りたいと、「これもください」と言いました。そうしたら、腰が低くて、親切な梨屋さんが、「その箱の中に入っている梨は、おまけ用ですから、あとで渡しますね」と言いました。おっかは、図々しく、堂々と、「おまけをください」と言ったみたいになってしまいました。おっかは、恥ずかしくて、大笑いをしていました。

梨そのものはもちろん、梨を使った商品もおいしそうで、我が家用にも、袋詰めの梨、2種類の梨のジャム、梨のグラノーラと、いろいろ買いものをしました。そうしたら、腰が低くて、親切な梨屋さんが、「こんなに買ってくださるんですか」と言いました。そして、腰が低くて、親切な梨屋さんは、おまけの梨を、あれもこれもと、たくさん袋に詰めてくださいました。腰が低くて、親切な梨屋さんは、しまいには、「おまけがたくさんあるから、袋詰めの梨、買うのやめますか?」と言いました。

おっかと私は、きっと、腰が低くて、親切な梨を、ごろっと抱えて、家に着きました。家に着いてからも、おっかは、おっかが図々しく、腰が低くて、親切な梨屋さんに、「おまけをください」と言ったみたいになってしまったことを、何度か笑っていました。私は、それが、そこまでおかしくなかったけれど、おっかがそんなに笑うのなら、けっこうおもしろいことなのかもしれないな、もっと、おもしろいと思いたいな、と思いました。

早速、おっかが、幸水という種類の梨を切ってくれました。それと、おっかも私も、見たことも、食べたこともない、梨のグラノーラも気になっていたので、梨屋さんの帰りに、スーパーマーケットで買ったヨーグルトと合わせて、いただきました。幸水は、甘くてみずみずしくて、とてもおいしかったです。梨のグラノーラは、やみつきになりそうなほど、おいしかったです。次の日、トーストに塗った梨のジャムも、とてもいい方向性の甘さで、トーストに毎回塗りたいと思うくらい、おいしかったです。

 

エッセイ漫画 <ご近所さんの生活> ほかのお話はこちら

 

武井 怜

1988年生まれ。現在、両親と猫と千葉県市川市在住。動物、お笑い、海外のコメディ、甘いもの、お相撲などが好き。コミックエッセイ『気にしすぎガール~この世のあらゆる物事に気を遣いすぎる女の日常~』(KADOKAWA)発売中。

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