市川市在住の切り絵作家、橋本明義さん(82歳)は9月12日(木)、市川市役所に田中甲市長を訪ね、自身の切り絵作品6点を市に寄贈した。
寄贈されたうち4点は現在の行徳の代表的な建物の外観を題材とし、オアシス妙典、あいねすと(市川市行徳野鳥観察舎)、行徳ふれあい伝承館、市役所行徳支所がそれぞれ描かれている。そのほか1点は、市とパートナーシティの関係を結ぶドイツのローゼンハイム市の市立美術館を描き、また1点は、飾り煙管(きせる)製作者として市川市で活躍した岩井三郎さん(千葉県指定伝統的工芸製作者、故人)が残した煙管を描いた。
橋本さんから作品を手渡された田中市長は「みごとなものですね。
貴重な作品をありがとうございます。市を紹介する絵葉書などにも使えるといいですね」と感謝した。橋本さんは「どうぞ市のために大いに役立ててください」とうれしそうに応じた。
橋本さんは広告・デザインの分野で長年従事し、60歳を過ぎた頃から独学で切り絵作りを始めた。建物や祭りなどさまざまな街の風景を題材に、200点を超える作品を創作し、これまで30点余りを市川市文化振興財団などに寄贈している。作品には白黒のものだけでなく、色紙などを用いて彩色したものもある。
また、個展の開催をはじめ、市内の学校へ出向いて体験会を行い生徒たちに切り絵を教えたり、イベントで切り絵のワークショップを行うなど、普及にも努めてきた。
中山小学校出身で、子どもの頃は自転車で遠くまで駆け巡ったという橋本さん。「日が暮れる帰り道の景色が好きだった。古い街並みは当時の白黒写真を元に描くことがあるが、切り絵にすると、写真とは違う存在感が出てくるのが面白い」と創作について語る。
市では寄贈された作品について「大切にお預かりし、イベントでの展示など、折に触れて市民に見ていただけるよう活用したい」と話している。