知っておきたい医療情報をレポート
気になる子どもの口まわり、夏休みはチェックのタイミング!
お子さんの口まわりの筋力、衰えていませんか?
口腔内筋機能療法(MFT)
近年、虫歯に代わって問題視され始めている、口まわりの筋力低下。その原因やデメリット、改善方法などについて、新浦安こんの矯正歯科医院の今野喜文院長に聞いた。
子どもの歯並び、出っ歯、受け口(しゃくれ)、たどたどしい話し方、口角が下がった表情などが気になってはいないだろうか。これらは口まわりの筋力が衰えて引き起こされている可能性が否定できない。
「近年は虫歯を訴えるお子さんが減りました。一方で、口まわりの筋力低下の問題が増えていて、歯科医師の間でも注目されています」と今野院長。
母乳やミルクを飲んでいる時期は口まわりの筋力は弱く、離乳食を経て硬いものを食べるようになるにつれ、自然と筋力を獲得していく。しかし、柔らかいものばかりを食べる昨今の食習慣が筋力向上を邪魔するのだ。
また、最大の原因は口呼吸だという。鼻詰まりはもちろん、猫背の姿勢、上向きで口を開いてテレビを見る癖などによって口呼吸は引き起こされる。口が常に半開きになった状態であるため、どうしても口まわりの筋力は衰える。それによって、歯並びが悪くなったり、子どもであってもほうれい線が出たり、発音に影響が出たりする。さらには、鼻呼吸と比べて口呼吸は脳に取り入れる酸素量が10~15%少なく、その分、集中力や計算能力、判断力などが低下するとの医学的データも発表されているという。
口まわりの筋トレ=MFT
これを改善するためのトレーニングが、口腔内筋機能療法(MFT)だ。簡単に言えば、口まわりの筋トレ。「方法は多岐にわたります。当院では、紐を付けたボタンを口先で引っ張る“ボタンプル”、舌先を上あごに付ける“スポットポジション”をメインに指導しています」と今野院長。
長年の癖であるため、「大人になればなるほど、改善には時間がかかる」とのこと。だからこそ、なるべく小さいうちからトレーニングを始めるのがベストだ。
「普段の生活の中で取り組むのが基本。お子さん1人ではなかなか継続できませんから、保護者も一緒にやりましょうとお伝えしています。フェイスラインが上がるなど、保護者にもメリットがあるんですよ」
受け口(しゃくれ)は、舌を上に持ち上げるマウスピースを付けて矯正するのが一般的だが、同院でのMFTトレーニングでマウスピースなしで治った子どももいるという。口を閉じる力が付いて口角が上がり、「子どもの顔つきが変わった」と喜ぶ保護者も多い。
口まわりの筋力が衰えたままでは、歯を矯正しても元の状態に戻りやすくなる。MFTに取り組むことで、美しい歯並びをキープすることができるのだ。気になる症状があれば、一度、専門家に話してみてはいかがだろうか。