公開日: 2024年3月21日 - 最終更新日: 2024年4月23日

「病院に行けない」人の元へ医療を届ける訪問診療という選択肢

浦安新聞
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地域サポート診療

自宅や介護施設など生活の場で行う医療を在宅医療という。
通院や入院以外のもう一つの選択肢として、今注目されているが情報が追い付いていないのが現状だ。

そこで、在宅医療を支える「訪問診療」を行う、ひまわりクリニック(浦安市高洲1)の山田智子院長に話を聞いた。

ひまわりのように明るい山田智子院長

診療を受けるには?
第一歩は相談から

訪問診療とは、通院や入院が困難で継続した医療サポートが必要な人に対して、医師が定期的に訪問して診療を行うこと。
つまり、それが必要と医師が判断した人が対象となる。

そう聞くと、「特別な人しか利用できないのでは?」と感じる人が多いかもしれないが、「まずはご相談ください。ひまわりクリニックの相談員がしっかりヒアリングし、説明いたします」と山田院長が話すように、訪問診療の第一歩は相談から。
「退院後、自宅からの通院が難しい」など、患者の家族のほか、ケアマネジャーや地域包括支援センターから連絡が入ることも多い。
体調を崩し足腰が弱ってそのまま寝たきりになった高齢者の家族から「食事もとれない。もうどうしたらいいのか分からない」と切羽詰まった連絡を受けたとき、もっと早く相談してくれたらと感じたことがあったという。
「訪問診療という選択肢があることをもっと多くの人に知ってもらいたいですね」

レントゲンも。
通院と同じ高度医療が可能な時代

一般的な内科疾患ならほとんどの病気に対応可能。医療機器の進歩もあって、レントゲン検査や超音波検査、輸血も対応できる。

「薬を渡すだけの医療ではだめだ」
訪問だからこそ分かること

勤務医時代、退院した患者を見送りながら「この人はこれからどうやって通院するのだろう」と感じることが何度もあったという山田院長。あるときケアマネジャーや訪問看護スタッフから相談を受け、訪問診療をする機会が訪れた。
「家で患者さんはこんなに困っているんだ!薬を渡すだけの医療ではだめ、生活を見て支えなければ」と痛感。
例えば、2食しか食べないから処方通り(毎食後1日3回)に薬が飲めていないことは、生活の場に足を運ぶことでしか分からない。3回飲めないなら2回で効く薬に切り替えるなど、生活に合わせた適切な医療が提供できる。そんな訪問診療の可能性に「おもしろみ」を強く感じた。
その後、一人ひとりに寄り添うような医療をと、訪問診療を行う「ひまわりクリニック」を開院した。

一人ひとりに 寄り添う医療を

山田院長が理念に掲げる「人に寄り添う医療の提供」とは、本人や家族の望む医療を、望む形で提供するということ。
時には意見が食い違う家族間に介入してすり合わせを行うこともある。そこまでできるのは患者の生活まで把握しているからこそ。
実際ここまでふみこむ医療機関は少ないかもしれない。

また、同クリニックでは訪問診療の患者を24時間365日サポート。
時間外でも専用電話で対応し、必要と判断した場合は往診を行う。不安を抱える患者や家族にとって強い味方だ。
「患者さんのストーリーはそれぞれ違う。違うからこそその思いを受けとめて、どうすればいいのかを一緒に考えていきたい」。
今後さらに高齢化が進む中、自分の生活の場で医療が受けられる訪問診療に、大きな期待が寄せられている。

 

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